できます。

 ハイ、以上。

 …。
 ではよろしくないので、もう少し書こうかな。

 自分がダイビングを始めた頃、あまりの楽しさに浮かれ、結構色んな人にちょっと本気混じりの冗談で、
 ダイビング始めちゃう?
 と、言っていた。(実際は非常に迷惑な話なんだが)

 しかしその返事がいろいろあったことに興味をそそられた。

  • 泳げないんですよー
  • ええーいいなー!やってみたい!
  • 耳抜きができないんだよねー
  • でも、お高いんでしょう〜?

 と、言ったところが主なものだ。
 さらに詳しく話を聞いてみると、ええ、ええ、ごもっとも、無理にダイビングしなくてもよろしいでしょうと思う人も実はごく少数いるけど、ダイビングを誤解しているんだなと感じる人も結構いたものだ。
 それは誤解だ!
 間違った認識を捨て、君もダイビングを始めるべきだ!と、いうわけではないが、泳げないけどダイビングできますか、というテーマに関してはいろいろなところで目にする割には今一つしっくりくるものがなかったので、あえてここで掘り下げてみようかと思った次第だ。

 しかし海なんか見るのも嫌だという方ももちろん世の中にはいらっしゃるわけで、ここでは大前提として、

泳げなくてもダイビングできますか?

 という問いを持つ人に対して答える、という体裁をとることにしよう。
 でないといろんなことが成り立たない。
 また、ここでは最も簡単なダイビングを体験できるかどうかというお話にしておきましょう。
 泳げませんけどダイブマスターになれますか?!という質問には、はっきりと、「なれません」です(笑)

 さて、まずは何はともあれ、
 自分は泳げないのに、ダイビングをしてみたい、と興味を持ったこと
 ここに最大の賛辞を贈りたく思う。
 大丈夫、必ずできるようになります。

 さて、ダイビングができない理由として一番納得させられてしまいそうなのが、「泳げない」と、「耳抜きができない」なのだが、この2つは、人間である限り(まぁそりゃ例外は必ずありますが)、まず間違いなく克服できる。
 (お高いんでしょう~?に関しては、このブログを読めば解決する!…ようにしたい)
 耳抜きに関してはまた改めてお話するとして、今回は、泳げないけどダイビングはできるのか?ということに焦点を当ててお話をしてみようと思う。

なぜ泳げなくてもダイビングができるのか

 ダイビングの目的は泳ぐことではないから。
 …といってしまってはなんだか身も蓋もないので、もう少しちゃんとお話しよう。

 ダイビングとは、タンクを持って水の中で呼吸ができる状態で、水の中に入っていくスポーツだ。
 極論、呼吸さえできれば、タンクとともに水の中に入って帰ってくることはできる。
 そう、ダイビングができてしまうのだ。
 付随するものを極限までそぎ落とすと、口で呼吸ができて歩ければダイビングができるということになってしまう。
 泳げるかどうかは実はまったく論外なんだ。

 いやいや、そんなこと言ったって少しは泳ぐでしょ?

 うん、確かに少しは泳ぐね。
 水中では、歩くより泳いだ方がずっと楽ちんだから。
 けれど、散歩に制限タイムがないように、ダイビングにも何秒で泳げなければならないとか、きれいに泳げなければいけないとか、そういった制約や要求は全く存在しない。
 自分のペースで、行って帰ってこられればいいだけだから。

 ほらやっぱり泳ぐんじゃないか、私泳げないもん、だめだよ。

 この辺から、「泳ぐ」という言葉の定義に乖離があることに気が付いてくる。

 単に「泳ぐ」と言った場合、多くの人の頭に浮かぶのは、大抵プールで、帽子をかぶってスイミングゴーグルをつけて、わっさわっさバタフライかなんかしているスイマーの絵面ではなかろうか。
 素直に言うが、私もそんなの無理だ。
 泳げないわけではないが、そんなにかっこよく泳げるわけでもない。

 ではダイビングに必要な泳力とはどの程度のことなのだろう?

ダイビングにおいてはプールサイドに座ってバタ足ができればOK

 もっといえば何となく足が動けばとりあえずOK。
 バタ足になってなくても、むしろもっと遅くて大丈夫。ゆっくり歩くくらいの速度で足が動かせれば十分だ。
 これを「泳力」といっていいものかどうかとすら思うレベルだ。

 プールサイドに座って足を動かす。
 これしかできない人が、私は泳げますとはまず言わないだろう。

 ダイビングは息継ぎの必要がない。
 だから、常に呼吸ができる状態でばたばた足が動かせる人なら、ともかくある程度移動はできるのだ。
 (最近のフィンは偉大で、何となく足が動いてれば前に進めるようなものもある。詳しくはこちらの記事もご参照を。)

 これが、ダイビングに求められる「泳ぐ」の最低限だ。

 私、泳げないんです。

 という人のイメージしている「泳ぐ」とは、ずいぶん隔たりがあるんではないかと思う。

 これが、「泳げなくてもダイビングはできる」と、一般的に言われるゆえんだろうと思う。
 泳ぐ、っていうほど泳げなくても、実際全然問題ないということなのだ。
 (実際、そんなに一生懸命泳いじゃうと空気がすぐになくなっちゃうし、もっといろいろ付随するやらなきゃいけないことがあって、泳ぐことなんかは実は二の次三番目くらいだったりする。 )

 しかし!

泳げなくてもダイビングできますか?

 この質問にはもっともっと深い根があるように思う。

 長くなってしまったので前半はいったんこれで。

 後半に続く
 後半では「私泳げないんです」という言葉の闇に迫ってみようと思う。