〜潜っている途中に出会った小トラブル〜

 つい先日まで、私はヤフオクで買った中古のBCDを使っていた。
 1万円くらいだった。
 とりあえず、出品者はどうやら他にもダイビング関連のものを出品しているし、素人さんではないようだし、まぁきっと大丈夫だろうと思って購入したものだ。

 ダイビングにおけるBCDの重要性は、現在では必要不可欠なものになっているが、いろいろな文献を紐解いてみると、ダイビングというものがうまれた時点ではBCDなどというものは存在しなかったようであるし、これがないと潜れないもの、ではそもそもないのだ。

 空気の入ったタンクは、ないと絶対に潜れない。
 タンクから出てくる空気を降圧してくれる器具(レギュレータ)も、ないとダイビングできない。

 だがBCDはそうでもないということなのだ。

 というわけで私はBCDは割といい加減なものを購入して使っていた。
 いい加減とは言っても、その時はそれなりにちゃんと真面目に考えたし、死にたくないしとも思ったが、これでいいと思って購入したのだ。自己責任なのだ!
 真面目に考えたと言っても…ではあるが、それにあたって自分なりにいくつかシミュレーションは、たしかにした。
 BCDが…
  ・フリーフローして急激に膨らむ
  ・エアが入らなくて浮力の確保ができない
  ・あと他には…
  ええい思いつかない、なんとかなる!
 と、言う程度には一生懸命考えた。

 まぁ、知らないということは怖いものだな、という、17度3mmウェットスーツにも近しいことが言えるのだけれど。

 しかし、そもそもタンクハーネスすらつけず、タンクを手に持って半袖短パンで潜ってる方を見かけたことがあるという話を聞いたことがある。
 確かスペインの方だったとかなんとか。
 やはり文化の違う人はやることが違う。

 しかしそれは私にとって大きな衝撃だった。
 そうか、別にタンクは背負わなくてもいいんだ。

 要するに空気が吸えれば目的は達成できるということか。

 そういうようなことを考えていくと、例えばBCに空気が入らなくなったとか、入りっぱなしになるとか、そんなことは実に些細なことに思えるようになってくるから不思議だ。

 実際、先日、沖縄で潜った際に、塩噛みなのか何なのか、中圧ホースから空気がBCの中にいつまでも供給されているような音がしており、インフレーターをみるとわずかに気泡がぽこぽこと。

 とりあえずガイドさんにちょっとまってね、とサインを出して、一旦全排気。で、あちこち押したり振ったり叩いたりしてみたが改善しないので、ひとまず中圧ホースをスポンと抜いたところで、当然だがシューという音は止まった。
 もう一回カチャカチャあちこち何回か押して、もう一度ホースを繋いだら改善したので、とりあえず解決ということに。
 その後はなんの問題もなく潜ってきた。

 まぁ、考えてみればこのBCDも、ヤフオクで1万円で買ってからすでに130本くらい潜っている。じゅうーーぶん元はとったと言ってもいいだろう。

 例えばこれが、縫い目がいきなりビリっと破れてまったく浮力確保ができなくなった、とかであれば、これはもう水中ではどうしようもないので、ハーネスと割り切って沈まないように頑張って泳げばいい話であるし、逆にインフレータのトラブルでフリーフローしてしまったら、まずホースを抜いて排気をすればいい。

 どっちにしてもBCDは、最悪タンクをホールドしてくれればいい。

 BCDのトラブル=即命の危険

 ではないということだ。
 もちろん、それがオーバーヘッド環境であるとか、流れが凄く強いところであるとか、他の要因によってトラブルの連鎖を引き起こす要因の一つであることは間違いないが、単体でBCがトラブったくらいでは慌てるほどのことではないのだ。


 というわけで格安ダイビング的に言うならば、一般的なレジャーダイビングに限って言えば

BCDは中古の安物でも十分に用が足りる

 と、いうことだ。

 めちゃくちゃ使い込んだレンタルだって十分使えてるんだもん考えてみれば当然ではあるけど。

 もちろん、周囲に迷惑をかけない範囲での、自己責任であることは、言うまでもない。