最近、潜水事故の事例を読み漁っている。
トラブル事例から学ぶことというのはとにかく多い。
自分の経験がそれほどないわけだから、やはり事例を情報として多くインプットしておくことはとても意義のあることだと思う。
自分では経験したくないからなおさらだ。
先日書いた水中でパニックになるという事という記事で、とにかくいろんなことを想定内にすることがまず落ち着きの第一歩だなどと偉そうなことを書いたが、偉そうではあってもそれは間違いないことだと思う。

事実、事例のほとんどの原因は、自分自身にあるのだ。
マリンダイビングウェブに、STOP! 潜水事故という特集があり、それを読むのが最近の日課になっているが、実際、私も同じような状況になったことがあるが、運よくうまく対処することができ、大した事故ともならずすんだことばかりだ。
水面に浮上したが、オーバーウェイトであったのに浮力確保をせずにそのまま沈んでいってしまった、とか、友人と潜っていて二人とも写真に夢中になってしまったとか、風邪気味だったけど潜ったら耳抜きできなくて炎症を起こしたとか…
たいていは起こるべき事故の原因があるのだなと感じている。
中には、通常ありえない風で船が転覆した、など防ぎづらかった事例もあるが、たいていは防ぐことができた事故のように思うし、実際記事の中でもこうすれば防げた、と書いてある。
どんなことでも、その時の状況によっては事故につながりうるし、自分だけは大丈夫と考えることのどれだけ恐ろしいことかと思う。

たとえば先日、ボートからぼちゃんといって、どうも沈みづらいな?ライトを外したからかな?等と思いつつちょっと力技で潜降し、着底したところでウエイトベルトをつけ忘れたことに気が付いた。
息子のOW講習ダイビング直後の初めてのファンダイビングだ。
センパイダイバーとしてカッコ悪いところは見せられない。
が、
「すんません、ウエイトわすれましたー!」
インストラクターさんに躊躇なく伝え、そこらの手ごろな石をBCに突っ込む。インストラクターさんがウエイトを1㎏くれたのでそれも。

このカッコ悪さは却って勉強になるだろう。
ダイビングはカッコよさなんか二の次なのだ。
安全こそ第一。

またこの時、大はしゃぎする息子にショップの皆さんも悪ふざけをし、それを見た相方が大笑い。
海の中で大笑いをするとどうなるのか。
マスクに水が入るわレギュにも水が入るわ。
それ自体はマスククリアすればいい話だし、水が入ったって空気を吸って笑っていれば別段どうということはない。

が、それで「パニックになって」はいけないのだ決して。
相方は大笑いをすぐにやめることにはなったが、事故になるようなことはなかった。

窒素酔いというものがある。
圧縮された空気を吸っていると、体内に窒素が吸収されることはダイバーならだれでも知っていることだが、それで酔って異常行動をとってしまう、パニックになりやすくなる、ということを忘れてしまっているダイバーも多いのではないだろうか。

普段ならどうということのないアクシデントでも、窒素酔いのせいでパニックになってしまうこともあるのだということも、忘れてはいけない。
潜水作業の事故例で、二人で潜っていたうちの一人は1か月ほど潜水作業をしておらず、窒素酔いに対する耐性が下がっていたのではないかという記事を目にしたことがある。
窒素酔いに対する耐性は、軽度の窒素酔いを繰り返すことで耐性がつくという話だが、ひと月潜らなければ耐性は下がってしまうということらしい。
だとすれば、我々のような一般的なレジャーダイバーがそれを期待するのは全く筋違いであるし、まずその影響を程度の差はあれど受けるものだということは、しっかりと理解しておかなければならない。

今はインターネット上にいろいろな情報があふれている。
それらの情報をインプットして対応を考えておくことは、とても重要なことだと思うが、ほとんどのダイバーはそれをしていないのではなかろうか。
この記事も、その一つとなれれば幸いだ。
これに関しては、著者の経験が多い少ないは関係ないはずだから。

ダイビングは、素晴らしい海の世界を堪能し、そして、無事に帰ってくることが言うまでもなく最も大切なことなのだと、いつもいつも認識しておきたい。

事故事例などを連載しているウェブサイトも多く見かける。
読んで怖くなってダイビングをやめてしまうのではなくて、よく知ってできる限り安全にダイビングを楽しんでいただけきたいと思う。

参考URL:
 マリンダイビングウェブ特集 「STOP! 潜水事故」
 DAN JAPAN
 DIVER ONLINE 特集「危機からの脱出」
 WikiPedia窒素酔い
 事件・事故・災害アーカイブ・水難事故発生状況